「トリュフ」。
トリュフの農家が豚を連れてトリュフ狩りに出かける。
わたしはトリュフが柏の木の根元にしかできないのを知らなかった。
柏のどんぐりも豚のごちそうだろうか。
丸々と太ったメスの豚が、トリュフ狩りには一番なのだそうだ。
犬並みに嗅覚がすぐれているというが
犬と違うのはトリュフが大好物だということだ。
犬は教えればトリュフを探してくれる忠実な助手だが
本能的に欲望に突き動かされる豚の熱意には敵わない。
地中の宝物に気付いた豚は、
鼻を使って猛烈な勢いで掘り進み、それを見つける。
さぁ、放っておいたら掘り手の豚に食べられてしまう。
そこで、農夫はポケットからクルミを取り出し、
豚の鼻先に突きつけるのだ。
トリュフとくるみは香りが一部似ていて、
しかもくるみのほうが香りが強いらしい。
豚が思わずくるみにむしゃぶりついているうちに
人はあっさり豚の目の前から宝を掻っ攫う。
目の前の欲望に勝てない豚は、トリュフを逃してしまう。
しかも学習しないらしい。
同じ豚が何度でも狩に出かける。
トリュフよりくるみの方が好物なのだったら
決して意地悪ではないのかもしれない。
それにしても、欲望に忠実で何度でも人のために働く豚。
豚が人に意地悪しようと思わない限り、
なんだか牧歌的なこの狩は成立する。
松茸と同じように、トリュフも採れる量も減っているらしい。
豚は自分の欲望のために、おこぼれで人の欲望を満たしてくれる。
これがいつまで続くだろうか。
















